北海道には文字がある続報…ここまで下がったハードル

https://tekkenoyaji.hatenablog.com/entry/2020/05/01/193325

https://tekkenoyaji.hatenablog.com/entry/2020/05/01/231857

北海道には文字がある…
散々言い続けているが、一部墨書土器しか無いではないかと指摘されそうである。
識字率は低い事は予想された事。
でも、状況証拠として確率が上がってもな~…とウナ垂れる道民の方々への「文字を探せ魂」に着火しなければ意味が薄い。
ならば、「ハードルを下げる」と言うのはどうだろう?


この元情報は、秋田県北の某資料館で貰ったもの。それを横展開する。
筆者がツイートした中で非常に反応された内容に、「片貝家ノ下遺跡」と言うのがある。
埋蔵文化財センターの常設パネルだが、平安期に十和田火山の泥流に巻き込まれ、竪穴住居がそのまま埋まり保存された貴重な例。

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その周辺に「文字」が存在したら?
実は、そのまさかと言うのだ。


「胡桃館遺跡で行われた埋没家屋の調査では、埋没家屋の扉板に、7月16日から3日間連続で1日あたり30巻のお経を読んだ、という内容の墨書が発見されている。十和田火山の噴火が西暦915年7月4日頃と推定されていることから、墨書は同年7月18日以降に書かれた可能性があり、」

秋田城文化財調査報告書第509集「片貝遺跡」-大舘工業団地開発事業に係る埋蔵文化財発掘調査報告書- 秋田県埋蔵文化財センター編集 平成30年3月 より引用。

大舘,北秋田辺りは、915年の十和田の噴火で泥流に飲み込まれたのは「片貝家ノ下遺跡」
だけではない。
やそこから500m程度しか離れていない「片貝遺跡」も…
寺社の土台部分がほぼそのまま残された「胡桃館遺跡」も同様…

情報を元に、「片貝遺跡」の調査報告書を見て驚いた。
「片貝遺跡」では、「大」「寺」の文字を中心に墨書土器が出土、そして上記の記事である。
「片貝遺跡」の墨書土器は、祭祀と絡んでいる事を示唆させている。
そして、「胡桃館遺跡」の寺社…
さすがに30巻/日×3日…お坊さんなら、目の前で起こった天災でお経は読むか。
至極納得である。
頂いた情報では、この辺は特別展公開や学術調査のみ公開されているとか。是非、見てみたいものだ。

寺社有らば、普通にこんなもんだろう。
大体、奈良朝以降、仏教を元に国の平安を願い、寺社を増やしたり「奈良の大仏」建立らの国家プロジェクトを進めたのだから、祈祷しない訳も、寺社に文字が無いのがおかしいのだ。


これが、何故「ハードルを下げる」事になるのか?
ここの地は「比内」と言う。
ガッツリ「秋田エミシ」の地なのだ。
それも9世紀半ばの、かの「元慶の乱」で「火内」と記載された反乱軍の地。
そこに於ても、寺社が作られ、天災が早く収まる様に祈祷が行われていたと言う証。
十和田の泥流は十世紀始め…
元慶の乱の後なのだ。
元慶の乱では津軽と渡島衆は、秋田城側つまり政府軍側に加勢した。
反乱軍でこうならば、北海道でもそうなるのでは?
寺伝通りならば、その頃既に有珠善光寺はある。
かの慈覚大師が、たった一つしかお寺を建てないって事はないと思うが。


どうだろう?
十二分にハードルは下がったと考えるが。
まだまだハードルは下げていく。
北海道に文字が見つかる迄。
無い方が異常なのですよ。


参考文献

秋田城文化財調査報告書第509集「片貝遺跡」-大舘工業団地開発事業に係る埋蔵文化財発掘調査報告書- 秋田県埋蔵文化財センター編集 平成30年3月