https://tekkenoyaji.hatenablog.com/entry/2021/06/17/201313
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さて、この際少し明治のキリスト教事情を続けてみよう。
筆者的には、近代まで手を広げるつもりは無かったのだが、この切り口が出た以上学ぶしかない。
実は、「北海道とキリシタン(カトリック)」にはこんな一文もある。
1872(明治五) の項である。
「五月二十一日、当時の黒田開拓次官が、「函館でキリスト教が蔓延したので 処置してほしい」と太政官に伺いをたてたものが道庁の文書室にあって、次のような内容である。」
「このように函館にキリスト教が蔓延していたとは思われないが、函館市史の「キリスト教諸宗派の受洗者数」によれば、カトリック教会では明治元年(一八六八年)に二名が受洗しているにすぎない。明治六年(一八七三年)には二十七名であり、他宗派のハリスト正教、日本基督教会、日本メソジスト教会、日本聖公会などでは明治七年(一八七四年)からの受洗がはしまっているにすぎない。故に「函館においてキリスト教が蔓延しているので」というのは、当時函館在住している宮城県出身の士族の中にキリスト教信者がいた事が発覚したので、それで一大政教問題とさわがれたのであろう。」
「北海道とキリシタン(カトリック)」 カトリック留萌教会 平成七年二月十八日 より引用…
確かに続橋司教の指摘通り、この受洗者数では辻褄が合わない。
1868(明治元)段階では、明治政府は「邪宗門である切支丹を禁ず」の高札を立てキリスト教禁止を江戸幕府から踏襲し、その高札を撤去して緩めたのは、1873(明治六)年。カトリックがフライングしているだけで、他宗派が公式に受洗開始したのは高札撤去後。
で、この伊達藩士とは？
http://archives.c.fun.ac.jp/hakodateshishi/tsuusetsu_02/shishi_04-11/shishi_04-11-04-01-02.htm
「洋教一件」として「函館市史」に記載がある。
同じ1872(明治五)に、東方正教会に教えを受けた伊達藩士が高札無視で布教を始めた事による様である。
開拓使は問題視したが、問い合わせを入れた井上馨や宮城県は軽く返答と言う物。
実際、
高札撤去…1873(明治六)
五人組廃止…1878(明治十)…実質的に禁教令が解かれたのはこの辺。
さて、では東北では？
大館市郷土博物館には「北鹿ハリストス教会」の展示があり、筆者は確認してきた。
函館のニコライ司祭に帰依した「山中友伯」と言う人物が函館から1881(明治十二)伝え、その後に教会建設らを行った様だ。
この「山中友伯」も旧伊達藩士の医師、
「山中ウエラ事件」の当事者の一人。
一派で仙台に1872(明治五)拠点を作り、仙台→水沢→盛岡→大館→函館と拠点を伸ばす計画を立てていた模様。
「北鹿ハリストス教会」はその一つとなる。
では、対してプロテスタントは？
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こちらも田村氏の洗礼から辿れば、藩士新妻氏の孫「吉田亀太郎」そして「押川方義」らを中心に布教をしていく。
これを見る限りでは東方正教会が先発、プロテスタントが追随した形。
一応公式には、高札撤去後からになる。
ただ、どちらの宗派にしても、旧伊達藩士がキリスト教信者となり、日本に布教を広める一翼を担ったのは、キリスト教史的には周知の事実の様で…ありゃ…
当然ながら、北海道へ向かった亘理や岩出山の旧伊達藩士の動きを、亘理小史から追ってみると…
・1868(慶応四)
戊辰戦争終結
・1868(明治元)
９月改元で明治に
函館戦争勃発
・1869(明治二)
函館戦争終結(五月)
亘理伊達氏への有珠移住辞令(八月)
有珠周辺視察(十～十一月)
・1870(明治三)
第一次移住開始(四月)
第二次移住開始(八月)
・1871(明治四)
第三次移住開始(四月)
後、1881(明治十四)の第九次まで計2600余人。
この時期、旧伊達藩士は北海道行きが激しい時期でもあるか。
当然ながら、まだ詳細不明。
但し、キリスト教布教に旧伊達藩士が関与しているのは事実だろう。
それらの人々と移住者の関与がどうなのか？
そして、江戸初期のキリシタン達の動向との関与はまだ不明。
宿題は山積みである。
日本史の中の切り口の一つではあるのではないか？。
何せ、これだけ素早い動きをし、こんなタイミングで旧藩士が展開していたのは事実なのだから。
参考文献:
「北海道とキリシタン(カトリック)」 カトリック留萌教会 平成七年二月十八日
「函館市史」電子版
「亘理小史」 亘理町史編纂委員会 平成二年十月一日
