紋様彫刻した刀剣拵の存在…「似た様なものなら日本中にある」

https://tekkenoyaji.hatenablog.com/entry/2020/12/09/054921
https://tekkenoyaji.hatenablog.com/entry/2020/11/30/121516
https://tekkenoyaji.hatenablog.com/entry/2020/11/15/141716

繊維、漁具、御幣…
東北始め日本中に似た様なものがあるケースを紹介してきたが、更に紹介してみよう。

ブログを見た方なら、何となく疑問に感じてきたかも知れない…発掘調査報告書や博物館の展示において、刀剣やマキリらを見て平然としている事を。
https://tekkenoyaji.hatenablog.com/entry/2020/07/17/175633
「江戸期のマキリは酒田製」、「マキリと言う単語も標準語の間切り包丁だろう」と言い続けている。
但し、短剣の刀身は酒田としても、外装…「拵」は彫刻が施されており、これはアイノ文化固有なのではないのか?と言われそうなものだが、我々…特に筆者がヘラヘラしている事に。

実はこれ…かなり学ぶに当たり、初期から筆者は固有のものだとは考えてはいない。
むしろ、上記御幣らを掘り出す以前から、似た様なものがあるなと言う事を知っていたからである。
一番最初に「大眼宗」に目を付け、院内の「院内銀山異人館」を訪問した時から、感づいていた。
https://tekkenoyaji.hatenablog.com/entry/2020/05/17/171103
むしろ、「似た様なものがある」と感づかせてくれたのは刀剣なのだから。
添付にあるよう、院内銀山の状況は、「門屋養安」が書いた「門屋養安日記」によりかなり克明に残されている。
院内銀山異人館には、その門屋養安が生前に使っていたものも展示されているが、その中に「懐刀」が幾つかある。
その内の一振は、白木でも黒漆塗りでもない。
拵全体に紋様彫刻がされ、赤漆が塗布されている。
気に入って愛用していたらしい。
残念だが、今や展示品は写真NGな為、それを出す事はムリ。
なので、あまり触れずに来た。

さて、そうとばかりも言ってはいられない。
と言う訳で、違う事例を紹介しよう。
角館の「角館青柳家」である。
柳家は、展示パネルによれば、元々甲斐武田氏家臣、中でも甲冑らを作っていたが、武田氏滅亡により常陸の佐竹氏へ仕官し、佐竹氏の秋田への国替えに帯同したと言う。
後に、佐竹北家家臣団として主に、南部領境警備らを担当した家柄。
まぁ甲冑や刀剣が数多く残され、現在展示をしている。
さてでは、近似の物を…
懐刀…
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更には兜割…
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見ての通り、紋様彫刻入りである。
当然ながら、漆技術の継承が無いなら、長持ちさせる為に骨角器を使うだろう。
懐刀では、一部骨角器らしき部分もあるし(材質は未確認)。
形状迄似ている。
柳家は上記通り、甲斐武田→佐竹氏と渡り歩き武器作りらに関係し、北海道と繋がりが深い「安東氏」家臣団ですらないのだ。
つまり、探せば日本人の何処かに他にも似た様なものが現存する可能性は高い訳だ。

ただ、現存数は多くはないだろう。
何せ、①明治維新での廃刀令武家没落による流出 ②先の大戦での金属枯渇…
仮に手放すなら?当然、太刀や脇差でも、伝家の宝剣を残し、これら実用的刀剣から手放すだろうと考えられるから。

さて、これをどう見るか…独自性があると思うか?
我々の意見は全員「否」
他のアイテム同様に材質,紋様に地方柄は有れど、そこまで。

ここから先は、見て戴いた方の判断に委ねるとしよう。
但し、「似た様なものがある」事例の一つである事は、間違いない。